音声翻訳機として人気の高い「Pocketalk(ポケトーク)」と「ili(イリー)」について比較してみました。よく比較される2つの翻訳機ですが、機能面ではかなりの違いがあります。
ここで紹介するポケトークとイリーはどちらも2018年最新モデルです。
ポケトークWとイリーの比較
ポケトークとイリーの違いを表にするとこんな感じになります。ポケトークは多機能、イリーはシンプルで最低限の機能に限定しているというのが特徴です。
ポケトーク | ili(イリー) | |
---|---|---|
価格(税抜) | 24,880円(本体のみ) 29,880円(本体+SIM) | 19,800円 |
ネット接続 | 必要 | 不要 |
液晶画面 | 翻訳結果が画面に表示される | なし |
用途 | 旅行、ビジネス、語学学習など | 旅行 |
対応言語 | 74言語 | 3言語(英語・中国語・韓国語) |
翻訳できる文章の長さ | 長文もOK | ワンフレーズのみ |
翻訳の方向 | 双方向(日本語→外国語、外国語→日本語どちらもOK) | 片方向(外国語から日本語への翻訳はできない) |
翻訳精度(※) | 4.24/5 | 2.88/5 |
※第三者機関で測定した結果(2017年のデータ)
操作性の違いなどはこちらの動画でご確認ください。
それぞれのレビュー記事はこちらです。


イリーとポケトークどっちを選べばよい?
使いやすさの点では大差なし
「イリーはポケトークよりも操作がシンプルでわかりやすい!」と言われていましたが、それは過去のことで、新型ポケトークW(2018年9月発売)はイリーと同じく翻訳ボタンを押しながら話すだけの簡単操作になりました。液晶画面の操作をしなくても翻訳機能が使えるので、液晶画面がよくわからないという年配の方でも問題なく使いこなせます。
ポケトークが圧倒的に優位?
大きさやバッテリーの持続時間など多少の違いはありますが、気になるほどの違いではありません。「ポケトークしかできないこと」と「イリーしかできないこと」を表にしてみました。
ポケトークでしかできないこと | ili(イリー)でしかできないこと |
---|---|
・双方向の会話 ・長文の翻訳 ・74言語に対応 ・液晶画面で文章を確認できる ・周囲が騒がしくても使える ・翻訳履歴(最大10,000件) ・音量調節 | ・オフラインで使える |
これをみると圧倒的にポケトークが優位です。ポケトークの回し者ではありませんが、本当にポケトークはスゴイのです。
双方向翻訳ができる
イリーは日本語から外国語(日本語→英語・中国語・韓国語)への片方向翻訳はできますが、外国語から日本語への翻訳はできません。
ポケトークは日本語から外国語への翻訳だけなく外国語から日本語への双方向翻訳ができます。日本語以外にも中国語→韓国語、フランス語→ポルトガル語など任意の2言語の翻訳ができます。
双方向翻訳の有無がイリーとポケトークを選ぶ際の大きなポイントです。
自分の言いたいことを伝えるだけでいいのであればイリーでも大丈夫ですが、相手の言った言葉を日本語に翻訳してほしいならポケトークという選択肢になります。
対応言語数
イリーは英語、中国語、韓国語の3言語ですが、ポケトークはフランス語、タイ語、ベトナム語など74言語の翻訳に対応しています。海外のホテルや公共機関では英語がたいていは通じますが、現地の人と会話をする場合には現地語が必要です。
私は英会話はできますが、海外旅行では英語が通じなくて苦労した経験が多くあります。現地の言葉でコミュニケーションができれば旅行が何倍も楽しくなります。アジア、ヨーロッパなどたくさんの国へ旅行する人なら74言語に対応したポケトークのほうが使い道が広がります。
液晶画面の有無
イリーはシンプルさを追求しているため、ボタンのみで液晶画面がありません。シンプルという面ではよいのですが、ポケトークの液晶画面をみてしまうと、「液晶画面があったほうが便利!」と思ってしまいます。
ポケトークは、話した言葉が瞬時にリアルタイムで画面に表示され、翻訳結果も一緒に表示されます。そのため、自分の言った言葉が正しく伝わったのかを目で確認することができます。
画面はスマホのようにタッチパネルで操作できるので、履歴を見たり、お気に入りを呼び出したりも簡単にできます。これにより海外旅行だけでなく、語学学習やビジネスなど幅広い用途で活用できます。
長文翻訳
イリーはワンフレーズの旅行会話に特化しているため、「おすすめのメニューを教えてください。」とか「窓を開けてもらえますか?」などシンプルな旅行会話は得意ですが、長文翻訳やビジネス会話などは苦手です。
ポケトークは長文や難しい内容の翻訳も得意です。こちらの動画をみていただくとかなり長い文章が正確に翻訳されているのがわかります。しかも周囲が結構騒がしい場所です。
今日から3日間ビッグサイトの「外食ビジネスウィーク」に出展しております!場所は動画の中で!#POCKETALK #ポケトーク #ソースネクスト #ビッグサイト #体験できますよ pic.twitter.com/tlpX6LSyfp
— POCKETALK (@pocketalk_jp) 2018年8月28日
イリーはオフラインOKで翻訳速度が速い
イリーの強みはオフライン(インターネット環境不要)で使えることです。電波がない場所、飛行機の中、地下etcどんな場所でも100%使えます。
ポケトークはインターネット環境が必要なので、海外旅行などで使う場合はSIM付きモデルを買う必要があります。SIMモデルを使えば105の国や地域で使えるので、たいていの場所では使えますが、対応していない国や電波がない場所では使えません。ネットの接続状況により不安定になることもあります。
イリーはオフラインなので翻訳速度も速いです。「最速0.2秒の翻訳」と公式サイトで謳っている通り、実際に使ってみてもかなり速いと感じました。ポケトークの翻訳速度は体感としては1~5秒程度(ネット環境・翻訳言語・文章の長さなどによってはもっとかかることもあります)で、イリーよりは遅いもののストレスがかかるほどではありません。どこまでの速さを求めるのかにもよりますが、私はポケトークの翻訳速度に不満は感じていません。
価格はイリーのほうが安い
ポケトーク | ili(イリー) | |
---|---|---|
価格(税抜) | 24,880円(本体のみ) 29,880円(本体+SIM) | 19,800円 |
イリーはポケトークの本体のみモデルより約5千円、SIMモデルより約1万円安いです。この価格差をどうみるかは人それぞれですが、イリーも約2万円と決して安くはありません。
せっかく音声翻訳機にお金をかけるなら、1万円高くても多機能のポケトークを選んだほうが用途が広がって満足度が高くなるのではないかと個人的には思います。
海外旅行ではポケトークとイリーどっちがおすすめ?
イリーは旅行に特化した音声翻訳機ですが、シンプルさを追求しているためできることがかなり制限されています。特定の国だけに旅行する人で、自分の言ったことが相手に伝わればよいのであればイリーで十分です。
しかし、相手の言ったことや英・中・韓以外の言語も翻訳したい場合にはポケトークでないとできません。特にいろいろな国へ個人旅行する人の場合にはポケトークがおすすめです!
緊急時には双方向翻訳のできるポケトークが活躍
海外旅行中に病気になり病院に行った場合は医師が言った内容がわからないと正しい治療を受けられません。また、スリにやられた場合は現地警察で書類を発行してもらわないと保険が受けられません。
イリーは自分の言いたいことを伝えることはできますが、相手の言ったことは翻訳できません。病院や警察へ行くなどの緊急事態が起きたときには、お互いに意思疎通をとることが不可欠で、そのためには相手の言っていることを理解する必要があります。
海外旅行では緊急事態がいつ起こるかわからないので、双方向の翻訳機能があったほうが格段に便利です。特に個人旅行ではトラブルに遭ったとき誰も助けてくれないので、一方向翻訳のイリーでは心細く、双方向翻訳のできるポケトークのほうが安心です。
ポケトークの履歴・お気に入り機能が便利
イリーは履歴を残す機能がありませんが、ポケトークは最大10,000件の翻訳履歴を残すことができます。さらにお気に入りに登録しておけば、よく使うフレーズをすぐに呼び出せます
例えば、
- おすすめのメニューを教えてください
- パクチーが苦手なので、パクチーを抜いてください
- ユーロは使えますか?
- ディスカウントしてもらえますか?
など旅行中によく使用するフレーズはあらかじめお気に入りに登録しておけば、ボタンを押すだけですぐに呼び出せます。その都度日本語⇒現地語へ翻訳する手間や時間がかからないので、自分にとっても相手にとってもストレスがかかりません。
電波が届かない田舎ではポケトークは使えない可能性も
イリーはオフラインで使えるのに対して、ポケトークはオンライン環境(インターネット)を必要とします。そのため、WifiやSimカードの使えない場所ではポケトークを使うことができません。
日本人に人気の旅行先であれば、インターネット環境の整っている国がほとんどなので、ポケトークが使えないということは少ないですが、ネット環境の整っていない国で確実に使う場合にはイリーのほうが確実です。
まとめ
ポケトークはイリーに比べるとできることが圧倒的に多く、相手の言ったことも翻訳できるのでトラブル時などでも使えます。イリーより価格は高いですが、それ以上の価値があるので、どちらを買えばよいか迷っているという場合にはポケトークをお勧めします。しかし、ポケトークはインターネット環境が悪いところでは使えないので、電波の悪い田舎町や機内で使うことはできないということを理解しておく必要があります。
ポケトークはAmazonやヨドバシカメラなどでも購入できますが、公式サイトがおすすめです(価格はどこでも同じ)。公式サイトでは購入時に『ワイド延長保証サービス』に加入することができます。この保証を付けておくと、落としてしまったり、水で濡らして壊してしまったときも修理対象になります。
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